神話と史実は関係があるのですか?

神話も歴史的な存在である以上、過去の時代・社会情況とまったく切断していることはありません。古代の人々が世界や宇宙をどのように認識していたか、また社会をどのような規範や秩序で成り立たせようとしていたか、何を畏怖し何を大事に思っていたか、そうした思考や心性を反映しているのが神話です。ゆえに、過去の人間たちの心のありようを理解するうえでは、重要な史料となるのです。もちろん、何らかの事件が神話生成の契機となることはありますが、しかし、神話のエピソードを直接実際の事件などに結びつけることは正しくありません。神話の物事を象徴する力を軽視し、その豊饒なイメージをやせ細らせてしまう視点です。なぜか、そういった研究姿勢をとるのは歴史学者に多いのですが。