装飾文様の円文は鏡を表しているとのことですが、そもそも鏡が円いのには何か理由があるのですか。

いろいろな考え方があるでしょうが、中国的世界観に照らして考えれば、天を象徴する道具、あるいは太陽を写した道具として円形を取るのだと考えられるでしょう。中国では天は円形、地は方形という、経験的観察に基づいた世界観があります。鏡は地上に置けば天を映す。つまり天を勧請する祭具として用いられたのでしょう。日本では、『古事記』や『日本書紀』の神話のなかに、アマテラスの姿を映す道具として作られたことがみえます。古墳時代は中国的宗教観を基盤に使用していたのでしょうが、やがて列島文化において新たな意味づけが行われてゆくのでしょう。