副葬品が多くなるのは、埋葬者に対して精神的な距離を置いていることへの「負い目」のようなものはあるのでしょうか。

どうなんでしょう。そういう個別の情念みたいなものが制度へ影響を与える、という視点は大切だと思いますし、考えてみなければいけないことですね。ただ、現在の考古資料や研究情況からみえてくるのは、むしろ、「後継者の権威付け」かも知れません。前代の首長の偉大さ、権威の巨大さを強調することは、そのまま後継者たる自分の正統性を示すことに繋がる。弥生時代には、青銅器を神に捧げる埋納の儀式において、どれだけ多くの質の高い青銅器を蕩尽できるかで、首長間の競争が起きています。当初は呪術的な意味を強く持っていた副葬も、やがては政治的な色彩を濃厚に帯びていったものと考えられます。