『六道絵』の閻魔王庁幅の細部にわたる描写は、経典などの書物だけからイメージされたものではないように思います。絵師たちは、何かもとになる絵図を参考にしていたのでしょうか。

その通りですね。唐末から宋代にかけて、十王裁判の様子を描いた「十王図」が制作されるようになり、それが日本へも将来されるのです。『六道絵』の閻魔王庁幅のモチーフ・構図は、明らかにそれを踏襲しています。