個人的に阿倍氏のことをまったく知らなかったので、もっと背景を知りたいと思いました。

講義でも触れましたが、もともと大王の供御に奉仕していた氏族で、常に側近に位置するその情況、食料獲得の役割上海上交通などの技術に秀でていたこと(海洋系氏族の安曇、海部などと同族的関係を結んでいる)などから、王権の直轄軍を指揮する役割も帯びてゆきます。例えば、東国を中心に設置された軍事的部民の丈部(ハセツカベ)などは、阿倍氏によって統轄されていました。斉明朝に蝦夷征討軍を指揮する阿倍比羅夫は、本家である内麻呂の阿倍氏の分枝氏族(阿倍引田臣)の出身です。海上交通に力を持っていたことは半島との関連も生み、海外派兵の将軍や外交使節に任じられる人間も出て、奈良朝に唐へ留学しその地で出世した阿倍仲麻呂らを輩出します。海外知識の摂取は、やがて天文や陰陽の博士としての地位を生じることとなり、安倍晴明まで繋がってくるわけです。