阿倍氏や中臣氏は役職に基づくウジ名ですが、それが付けられる以前に名はあったのでしょうか。

集住している土地の名前から部族名が生じてくる、というのが一般的なあり方だったでしょう。朝廷の職掌に基づくウジ名を持つ氏族は、その役割が国家運営と関わるものであるほど新たに編成された可能性が高くなります(氏族というと自然発生的なニュアンスがありますが、王権が人為的に作り出したものも多いのです)。大王の供御に奉仕する阿倍氏などは古そうですが、卜占・修祓・祝詞奉読を職掌とする中臣氏は、6世紀(欽明朝頃)の祭祀制度の整備に際して作られた氏族ではないかと考えられます。