水による清めの重要性は分かったのですが、古墳時代などに用いられていた火の清めはどうなったのでしょう?

やはり火は危険なので、水ほど利用はされなくなってゆきます。しかし、現在まで盛行している使用例があります。いわずと知れた火葬です。火葬はアジアでは仏教者を中心に展開し、日本では、考古学的には須恵器製造業者の周辺で、文献的には飛鳥〜奈良時代の僧道昭を初見に展開してゆきます。庶民にまで一般化するのは近代になってからでしょうが、仏教で自分の身体を供犠する焼身行があることを考えると、火は何かを他界へ送る手段であると一貫して認識されてきたことになります。ハラヘやキヨメも穢れを他界へ送る呪儀なので、火葬も、穢れた身体を浄化し精神を浄土へ送り届ける祭儀といえるかも知れません(ちょっと乱暴ですが)。