家を建てる際に、何度も祭祀を繰り返すというお話でしたが、それでも災禍が起こるときには、やはり祭儀を続けるのでしょうか。

きちんと祭祀を行っていても災害が生じる場合、古代人は、自らの祭祀の方法が間違っているか、神意が自分たちより離れていると考えます。そこで卜占を通じて神の意志を読み取り、神の望む祭祀の方法を探り出そうとするのです。亀卜や託宣などの手段で神の意志が示された場合、指示された方法で祭祀を実行し、もし災害が治まれば、今度はその方法がスタンダードとして年中行事化します。災害が終息しなかった場合、後にまた災害が起こった場合などは、また卜占を介して祭祀の更新が図られるのです。いわゆる祟り神の物語などは、みなこうしたプロセスの一断面を神話化したものなのです。