三種の神器はいつごろ確立したのでしょう。中国にはそれに相当するものはあったのですか。

実は、確立していたのかどうか定かではないものなんですね。まず、剣・鏡・玉の3点セットは、5世紀後半頃、神祭りの道具として列島各地へ画一化されてゆきます。恐らく、大王が天皇として神格化される際に、神祭りの祭具も即位儀式のなかへ取り込まれたのでしょう。『古事記』にはアマテラスがニニギに三種の神器を授けて地上支配を命じる件がありますので、奈良時代には起源神話とともに整備されていったのだと思われます。しかし、その存在が屹立してくるのは、王権が危機を迎えた院政末期、南北朝期などで、『平家物語』や『神皇正統記』のなかで大きく喧伝されてゆくのです。