亀を神聖視しているのは分かったが、それを占いの材料にするために乱獲してもいいのだろうか?

アニミズムが宗教的観念の基本をなしている世界では、動物の本体はそれに宿っている精霊であり、皮や肉体は、その精霊がまとっている衣服のようなものに過ぎないという考え方があります。よって、信仰する動物が捕獲や食肉の対象となることはまったく不思議ではないのです。例えばアイヌの熊送り行事(イヲマンテ)では、春から大事に育ててきた子熊を、秋の祭祀に合わせて殺害し、身体の各部を無駄のないよう集落で分配します。そして熊の本体=精霊は、生命の根源である他界へ誘われ、送られてゆくのです。