殷という古い時代に、内陸部で、どうやって占いに用いる亀を確保していたのですか?

殷代に用いられたカメはほとんど20㎝程度のクサガメやハナガメで、東アジアの池沼や湿地などに普通に生息しているものです。マレーシア産の大亀が1例だけみつかっていますが、それらを除けばそれほど貴重な「素材」ではなかったでしょう。甲骨のなかには「武帝期特殊刻辞」と呼ばれる一連の刻文があり、そこには、殷に奉仕する複数の国や民族が、亀甲の貢納を担っていたことが記録されています。一方の日本は海亀のみを使用したので、土佐国高知県)など海亀が産卵に訪れる地域から貢納されたり、海で捕獲したりする必要があったようです。対馬の亀卜は古墳時代から連綿と続いていましたが、近代になって海亀を捕獲する家が島を出てしまったため、亀卜神事が行えなくなったとのことです。