授業で扱ったトンプソン・インディアンの山羊との婚姻譚で、4種類の毛皮を試すというモチーフが出てきました。これにはどのような意味があるのでしょう?

詳しいことは分かりませんが、恐らくは祭祀や儀礼の次第を反映しているのでしょう。神話は祭儀の折に舞踏や演劇の形で再現されます。その細かな手順が語りのなかに残っていることは考えられます。また、物語の展開として、最も主要な課題を克服するために(無意味にもみえる)幾つかの手順を踏むということは、神話や伝承、昔話などの常套表現です。何かを獲得するためには、それ相応の困難が必要であることを語っているとも思われます(「等価交換」ではありませんが…)。山羊と狩人の場合、何度も若い山羊に酷い目に遭わされることが、修行の意味を持っているのでしょう。