『三国遺事』の檀君神話に虎が登場していましたが、その役割・意義はなんでしょうか。確かに、朝鮮というと虎に馴染みが深い気もするのですが…。

やはり熊と対比される役回りでしょうが、熊に比肩しうるほど強力だが、獰猛で忍耐力がない(物忌みができない)動物との認識が現れています。次回の狼に関する講義でも触れますが、中国における虎はヨーロッパにおける狼の相似形で、力の象徴として崇められる一方、人間の襲われる「虎害」が長い間に渡って問題となり、大虐殺も行われ、古種に属するアモイトラなどは絶滅寸前にまで追い込まれています。檀君神話の虎にも、そうしたマイナス・イメージが反映されているのかも知れません。