矢を射ることが性交渉の象徴なら、他の動物に対しても成り立つのですか?

矢が男性象徴であることは、ユーラシアの多くの神話に共通して見出せます。ギリシャ神話の最高神ゼウスは雷神でもありますが、大地に突き刺さる雷はその豊穣を保証する種付けであり、ヤマト言葉の「いなづま」もそうした認識に基づく名称です。矢を用いた狩猟によって獲物を獲得することは、男性が女性を獲得する暗喩でもあり、狩猟と性交渉とは神話的には共通のものとして語られるわけです。トンプソン・インディアンの「山羊と狩人」の神話も、そのような観念複合のなかから紡ぎ出されているのです。