樹木伐採にも送り儀礼があるとのことですが、アニミズム世界を基底にしているとすれば、石などに対しても送りはあったのでしょうか。

石の送りについてはあまり聞いたことがありません。しかし、例えば『続日本紀宝亀元年(770)二月丙辰条によると、飯盛山より西大寺東塔の心礎に運んだ石が祟りをなしたため、「柴を積みて之を燒き、潅ぐに卅餘斛酒を以てし、片片に破却し、道路に棄」てたところ、後日天皇が不予となったため、「拾ひて淨地に置き、人馬に踐ましめず」という措置をとったといいます。二つの「」内の措置を送りか鎮めだと考えても不自然ではないでしょう。石にも精霊の存在が認められ、祭儀の対象になったのです。