妖怪なども黄泉国と繋がっていたのでしょうか。あるいは、精霊送りと妖怪に関係はないのでしょうか。

妖怪には様々なカテゴリーがありますが、例えば牛頭・馬頭といった地獄の獄卒などは、明らかに他界のイメージと繋がっています。すでに8世紀の段階で、地獄から死者を迎えに来る獄卒の物語が中国から輸入され、僧侶の布教活動を通じて喧伝されています。また、動植物や器物に由来する妖怪には、かつて神霊として崇められていたものも多いと思われます。平安以降、百鬼夜行の主役として登場する付喪神などは、いらなくなった器物を廃棄する際の送り、供養の儀礼を前提に成立したと考えられています。大量消費経済の訪れと、人間の倫理観、宗教観とのギャップが生み出した妖怪ともいえるでしょう。