以前、キツネも尾が稲穂に似ていることから穂落神とされたという話を本で読みました。キツネには、農耕の季節に水田を訪れる習性はなかったのでしょうか。

キツネが水田に集まる小動物を狙ってやって来る、ということはありうるかも知れませんが、あるとすれば多くは畑の場合でしょう。山中・山麓の畑に集う兎や狸は、狐の格好の標的になったはずで、その意味では狼と同じように農耕の守護神とされたことも頷けます。しかし、稲の守護神のように扱われるのは、伏見稲荷が東寺の鎮守神となり、密教のダキニ天のキツネ(本来はジャッカルだが、日本ではキツネに充てられた)と稲荷神が習合してからだと思われます。