講義でよく扱われる伝記について、亡くなった人の経歴や性格など詳しく書いていますが、どうしてそのような情報を知りえたのでしょう。

律令制では、基本的に、功績のある家々の伝記が式部省に集められ、編集・保管されることになっていました(職員令式部省条)。また、時折朝廷から臨時に命令が出され、家々の歴史が提出される場合もあったようです。それらが編纂官によってまとめられ、国史編纂に際してまとまった形へ叙述されたものでしょう。しかし、その最終的局面においては、当時の政治情況などを反映し、記述の歪曲や削除が行われる場合もありました。中国の「伝」の形式に沿ったパターン的表現もありますので、伝記を読む場合には様々な注意が必要です。