民間で活動していた行基を、他の僧がいるなかであえて大僧正に任じたメリットとは何でしょう。

畿内周辺における行基の人気は大変なものであったようなので、国家としては彼を登用し仏教界の頂点に据えることにより、仏教国家建設の諸事業に対し民衆や新興豪族の協力を得ようとしたのでしょう。事実、大仏造営事業等に対して多くの地方豪族が私財を投入し、見返りに外従五位下の位階を得る献物叙位なども盛んに行われました。大仏造営の労働力を確保するうえでも、行基を記号として利用した効果は大きかったのではないかと考えられます。