玄昉、良弁、道鏡は医療行為を通じて政治権力と結びついたようですが、それだけで政界で一級の力を手に入れられるのでしょうか。

確かに大きなきっかけには違いありませんが、彼らの力はそれのみに限定されるものではなかったでしょう。玄昉は真備と並んで当時最新・一級の知識を持った人物でしたから、諸兄のブレーンとしては適任であったと思われますし、良弁も無名の僧侶から出身して東大寺創建の中心人物になってゆくのですから、事業を立案・計画・実行する能力にかけては極めて優れたものがあったはずです。道鏡の力に関してはいまひとつよく分かりませんが、いわゆる雑密的なプレゼンテーション、カリスマ性にはみるべきところが大きかったのでしょう。自分を含めて仏教の呪験力を用いた総合演出力、という点では優秀だったのだと思われます。