中国では「九相図」は描かれなかったのでしょうか。

アフガニスタンやキジルなどに、「観骨相図」と呼ばれる石窟壁画が残っています。僧侶が人骨をみつめる図像で、主に石窟における瞑想修行に用いられたと考えられています。中国でも、唐宋時代に「観壁画九想詩」と呼ばれる詩文が残っており、同じような瞑想がなされていたことが想像できます。日本のように九段階の腐敗を追った絵画は残っていませんが、かつて描かれたことは確かでしょう。しかしその残存の情況からは、列島の人々の死体に対する特別な心性を窺い知ることができそうです。