占いの結果を記録し、それが自動的に後世の人々にとっての歴史記録となるのは分かりましたが、そもそもなぜ記録することにこだわったのでしょうか。何かメリットはあったのですか。

重要な質問です。そもそもは、占断を行った時点での結果を確認するために、それを記録して後に照合したのだろうと思われます。しかし、次第に照合の文章の験辞は刻まれなくなり、人為的操作の跡も色濃くなってゆきますので、だんだんと記録・保管の意味が変わってきたのでしょう。同時期、青銅器にも文字を鋳造する行為が始まっていますが、これは盟約の内容や王による褒賞の言葉などを後世に残そうとしたものです。文字を司るのは卜官=史官の仕事で、文字自体が呪術的なものでしたので、恐らく、それを刻み込むことが未来を確定するとの意味合いがあったのでしょう。