「祟」が毛深い豕のような獣を指す字だと知って驚きました。『もののけ姫』の祟り神もちょうどそのような形だったと思います。何か由来やモデルはあるのでしょうか。

授業でもお話ししましたが、日本の古代では『書紀』や『古事記』に、荒ぶる神の表象として猪が登場します。『もののけ姫』のナゴの神、乙事主などは、それらに取材したものでしょう。『説文解字』は、タタリを示す字の一形態について「河内の名豕」と説明しますが、かかる文字説明が日本古代の表現に影響を与えた可能性も考えられます。漢籍に荒ぶる猪の暴れ回る場面をそれほどみないことからしても、タタリの文字とその説明から猪神が起ち上がった、と理解した方が適切かも知れません。