聖徳太子のドラマでは、ボーガンのような武器や立派な甲冑が出てきて、ちゃんと時代考証をしているのか気になりました。

あの弓は、「弩(オホユミ)」ですね。律令国家では各軍団に配備される通常兵器ですが、6〜7世紀の段階ではまだ一般化していませんでした。しかし『日本書紀推古天皇26年条8月癸酉朔条では、高句麗からの献上品のなかにこの弩がみえます。ドラマでこの武器を使っていたのは新羅からの渡来人という設定でしたので、これらの記事をヒントに組み立てたエピソードでしょう。一応は根拠があるのです。また、主要人物が身に付けていた甲冑も、同時代の古墳から出土するものがモデルとされており、突飛ではありません。シャーマンの化粧なども、6〜7世紀の情況にみあうかいまひとつ不安もありますが、前代からの出土資料(顔に入れ墨模様の入った仮面、埴輪など)を参考に作られているものと思われます。