古代では中国、現在ではアメリカ、大陸から孤絶しているがゆえの特異な海外への幻想、ナショナリズムこそ、長期にわたって受け継がれている独自の心性ではないでしょうか。

そうですね、確かに海外に対する憧憬は存在します。海の彼方に理想郷や死後の世界をみる海上他界観などは、その典型でしょう。他界から来訪する神は、正しく応対すれば幸福をもたらしますが、邪険に扱うと災禍を及ぼすといわれています。列島に暮らしてきた人々には、外国からやって来るものをそうした両義性で把握する心性が強いのかも知れません。時代や社会の情況や遭遇の仕方によって、それが過度な閉鎖性となって現実化したり、逆に開放性として多くのネットワークを築いてゆくこともあるのでしょう。