森林破壊は思ったより古くから存在しているのに驚きました。ほかにも、現代的問題と思われてるのに実は昔からあった、というような問題はありますか?

環境問題でいえば、鉱毒などによる汚染もあります。奈良の大仏造立は有名な話で、必ず高校までの日本史でも学びますが、その鋳造過程で生じた銅の毒が平城京を汚染した可能性が指摘されています。確かに、東大寺周辺に繋がる平城京の水路からは、銅の成分が考古学的に検出されています。学者によっては、この汚染で水が使えなくなったのが、平城京を放棄し遷都する原因であったとまで主張する人もいますね。ちなみに、古代宮都の建設による畿内周辺の環境破壊も相当なもので、樹木の少なくなった周辺の山々から土砂が河川に流れ込んだことで、8世紀初めまでは生駒山の麓にまで達していた大阪湾の入り江が、10世紀頃までにはほとんど埋まってしまうという事態に至ったとの見解もあります。