カチカチ山の話について、先生は「おばあさんを騙した狸は、これを殺して婆汁にしてしまう」と紹介していましたが、ぼくの読んだ話では、おばあさんは殺されることはなく、最終的にウサギの力を借りて狸を反省させる筋になっていました。このような相違はどうして出てくるのでしょう。

昔話は、伝承される地域の文脈で、内容に微妙な差異を生むことになります。それは普通にあることなのですが、上のような事例は、恐らく出版社が幼児用に改変したバージョンだと思われます。一般的に昔話には残酷な要素も強いのですが、これが近現代に国家利用、もしくは一般向けにエンターテイメント化されると、換骨奪胎され道徳色・倫理色が強くなります。カチカチ山の場合、確かに、子供に「ばばあ汁」は強烈すぎるかもしれません。