「歴史学をめぐる諸問題」の保立先生の講義のなかで、王を殺したことでその王が悪霊となり、自然災害を引き起こすと習いました。今回の王殺しの問題と、何か関係があるのでしょうか。

保立先生の講義で語られた「王殺し」は、天皇のことではなく、例えば早良親王の横死とその怨霊化についてであったと思われます。いわゆる「御霊信仰」ですね。これは非業の死者が悪霊化するという中国伝来の思想に基づくもので、菅原道真をはじめ、王「が」災害をなすというより、王「に」災害をなす系統の習俗です。よって、フレーザーのいう王殺し習俗とは少し意味が違います。