中国で生まれた疫鬼祓除の呪文ですが、民間にも浸透していたのでしょうか。

道教は漢代以降、民衆の圧倒的支持を得て拡大し、ときには政治的反乱の契機にもなってゆきます。病気の原因となる厲鬼を撃退する方法は、中国では紀元前から実施されていた同時代資料があります。長い歴史を経て、民間にも浸透していたでしょう。ことに、授業で扱った「龍が厲鬼を食べる」という呪文は、物語的で難しくありません。『千金翼方』に幾つかのバージョンが掲載されていたということは、それだけ広がって種々の異なる形式を生じていた結果だと思われます。