『范汪方』の呪言の具体的内容ですが、「九頭一尾」「三頭九尾」などの具体的数字が気になりました。 / 「朝に三千を食らひ、暮に八百を食らふ」の、具体的な数字には意味があるのですか。

中国では、このような数を「術数」といい、儒教や仏教、道教、陰陽五行説などのなかで、意味するところが様々に議論されてきました。まず「九」や「三」「一」ですが、奇数は陰陽五行でいう陽数であり、動物としては陰気に属する蛇に、プラスの性性を与える意味があると思われます。また「一」はあらゆる根源を指し、「三」は天・地・人という世界の基本要素を指し、「九」は『易経』にいう陽数の代表的数なので、それらの象徴性をまとい正当的意味合いを作り出しているともいえます。「三千」は、上で述べた「三」を拡大したイメージで、あらゆる世界を表す数字です。仏教でも「三千世界」などと用います。「八百」は、仏教で満数=聖数を意味する「八」を拡大したものでしょう。やはり、実数としてではなく「たくさんの」という意味を持ち、また神聖性をまとう数字でもあります。上記の龍蛇は、このような意味深な数字で飾り立てられているのだと考えられます。