漢文にはよく教訓などが書かれているというイメージなのですが、『捜神記』には、何かメッセージが込められているのでしょうか。

『捜神記』が含まれる志怪小説というジャンルは、「怪異を志(しる)した書物」という意味です。これは歴史書の一種で、正史が国家の歴史を扱ったのに対し、個人に関わる歴史を扱いました。編纂にも、正史に携わったのと同じ史官たちが当たっています。『捜神記』には、正史である『漢書』五行志に収められたものと同じエピソードを、幾つかみることができます。五行志は、陰陽五行説という当時の「科学」に基づき、怪異を何らかの事件の予兆と位置づける性格を持っています。『捜神記』に語られる怪異も、単に好事家的な関心からだけでなく、世界の秘密を追求するような観点から描かれたのかもしれません。