『もののけ姫』に登場するコダマは、作品世界においてはどのような位置づけなのでしょう。

もののけ姫』の作品世界のなかでは、コダマのみがシシ神と感応しうる存在です。乙事主やモロなどの巨大動物神は、シシ神の思惑を推し量ることさえできません。人間が森林に対する征服者とすれば、動物神たちは森林の「原住民」に当たり、ともに自然に寄生しているという点では同じ存在なのです。それに対してコダマは、「森が豊かな証」と呼ばれており、シシ神の首が落ち、森に死がもたらされると同時に大量死してゆく。明らかに自然の側を構成する存在です。木々の生命エネルギーの実体化したもの、などと定義することができるかもしれません。