イオマンテのような祭儀は、本当に効果があったのでしょうか?
「効果」というのは、どのような意味の「効果」でしょうか。たくさんの肉を持ってきてくれるようにとの豊饒の願いという意味でなら、あまり効果は期待できなかったでしょう。しかし、授業でもお話ししたように、この祭儀の本当の意味は「送り」です。こう断言してしまうと近現代的でやせ細った印象になってしまうのですが、「送り」の根底に流れているのは、生き物の命を奪わなければ生きてゆけないことに対する後ろめたさ、負債を返却しようという意識、贖罪の感覚でしょう。それを実践して初めて、彼らは自分たちの生業を正当化できるのです。そうした意味では、常に大きな効果があったのだと考えることができるでしょう。