自然の変容によって集落が離散するような厳しい環境のなかで、なぜ火焰土器のような装飾性に富んだものが生まれたのですか。

火焰土器の「火焰」は、生命エネルギーの漲った状態を表現しているものとみられます。講義でも扱いましたが、縄文人は、土器に自らの依存する自然環境の象徴や、ある意味での神話のようなものをレリーフ、紋様などで表現したようです。すると、「火焰」はある意味で祈りそのものであり、豊かな恵みが得られるよう感謝し要請する、「予祝」的な意味・機能があったものと考えられます。この時代の文化のあり方は現代芸術とは異なりますので、必ずしも余暇の消費のために生み出された娯楽などとは一致しないのです。