神話と聞いて、梅原猛氏の「古代人は単にメルヘンとして神話を語らない。すべては政治的な出来事等をもとにしたものだ」との言葉を想い出しましたが、先生はどう考えますか?

梅原氏は、以前同じ雑誌に書いたことがありますが、先行研究に関する彼の不勉強さと、思い込みの強さはよく知っています。「神話はすべて政治的なもの」というのは、彼が国家レベルの神話、すなわち権力によって文章として残されたものしか対象にしていないことを示しています。神話というものの出自や機能の多様さ、深遠さというものも理解していませんので、考慮するに値しない見解だと思います。