ねずみ男の話で少し考えたのですが、ときどき周囲の人間すべてが敵にみえたり、人間にすらみえなくなる時があります。被害妄想を抱くこともありますが、これも神経症的な症状なのでしょうか。

成長過程で誰しもが一度は経験することでしょうが、自己に対する防衛意識が過度に働いている点は否めないかもしれません。自尊心と自負が傷つけられ、自分にとっての世界や価値観が根底から崩されることを忌避するという防衛機制ですね。例えば学問の世界では、閉じられていることが最も問題で、方法論や問題意識を含め、何度も他者から批判されて再構築を繰り返してゆく、その過程で広がりも深みも増してゆきます。人間の成長にも同じことがいえるでしょうが、しかし批判されること、否定されることは、やはり嫌なものです。その度に、逆に相手を批判し、否定することで自分を守ろうとする。悪いのは自分ではなく相手の方だ、世界の方だという物語りを作ろうとする。しかしそれだけでは、自分自身はずっと閉じられたまま、浅薄なままです。開くことには苦痛が伴いますが、何度かそうした経験をしているうちに、常にとはいかないかもしれませんが、ある程度はニュートラルなままでいられる自分を創ってゆけるのではないでしょうか。しかしこれはあくまで素人意見ですので、本当に辛くなったら、カウンセリングなり何なりを受けてみることをお勧めします。