エディプス・コンプレックスと逆の事象、例えば親が同性の子供をライバル視して虐待する、といった定型化は行われているのでしょうか。

この問題は、むしろエディプス・コンプレックスの枠組みのなかで対象化されています。つまり、異性の親との一体化を求める子供の行為は、同性の親からの去勢恐喝=虐待を呼び起こし、結果として同性の親へのアンビバレンツな感情を喚起し構築してゆくというのです。去勢恐喝が現実のものとして起きるか、あるいは子供にそうしたものとして認識されるだけなのかは多様性があるでしょうが、例えば猫などの動物にも、父親の子供への虐待行動などは確認されています。近年日本列島で深刻になりつつある児童虐待を、安易に心理学的に定型化することは慎まなければなりませんが、親が親として成長してゆく過程の問題としてはありうることでしょう。