渡来人が中国思想を日本へ導入し、日本の人々の考え方を変容させたとあるが、具体的にはどうやって喧伝したのだろうか。

講義でもお話ししていますが、別に渡来人が独自に喧伝し日本人の心性を変容させたわけではありません。あくまで国家がかかる思想を導入し、社会・文化を中国的に改変すべく喧伝していったのです。例えば授業でも扱った神殺しですが、多くは開発などの現場で流布されたものと思われます。自然神を圧倒する物語を語り聞かせ、それを前提にしながら工事を推進してゆくことで、達成した段階での「克服」を身体化させてゆく。それをさまざまな局面で繰り返すことで、神に対する必要以上の畏れを除去していったものと思われます。