自然環境の破壊は、権力者の行動より庶民による行動の方が影響力が大きいと仰いましたが、米を税として庶民に納入させたのが権力であるならば、権力者も日本の自然環境に大きな影響を及ぼしているのではありませんか。
ああ、それはそうかもしれません。ちょっと表現が矛盾していましたね。権力の作った枠組みのなかで民衆がどう行動するか、ということですので、そういう意味では権力の力も大きいといえます。しかし、その部分だけを強調しすぎると、戦争責任などの問題と同様に、支配者の側だけが悪く民衆は被害者である、という主張になりかねない。環境問題は、生活者ひとりひとりがどう行動するかが、いちばん大きな問題なのだといいたかったわけです。ひとりひとりが生き残るために自然を破壊してきた、その結果が現在の惨状を招いている、そういう自覚が必要なのです。