富山さんの主張は、先生のご指摘の通り確かに間違いであると思いますが、富山さんの主張では、植林をするなどの原始的な概念の定着について話をしているのであって、先生は、そうした概念の定着後の問題について話をしているように思えました。

こちらの説明が不充分でした、といいますか、次回に回してしまったので誤解を招きました。まず、富山さんの、「日本人は太古から木を植えてきた民族」という提言自体が、まったくのでたらめなのです。植林が一般化するのは近世以降で、古代においても、例えば王権にとって重要な一部地域、宗教的に意味のある寺社の森林などでしか、植林の痕跡はありません。ちなみに神社の鎮守の森は、一般には神聖なものとして太古から伐採されてこなかったと考えられていますが、やはり植生調査を行うと、伐採によって植生が変転してきていることが判明します。中世の古文書などにも、民衆が寺社の森林を伐採し、寺社側と紛争を起こしている記録が出て来ます。富山さんの主張は、徹頭徹尾成り立たないのです。