帝国医療のところで、「植民地が頼らざるをえなくなる」という話がありましたが、それは戦略として故意に流行させたのでしょうか?

後にはそういう展開もあったかもしれませんが、もともとは開発の展開が偶発的に病の流行を引き起こし、近代医療が投下されるという方策が採られたもので、帝国側の無策と場当たり的な対処を示しています。しかしその循環のなかで、次第に調和を保っていた病因と人間社会の関係が破壊され、それに伴い民俗医療も迷信化されて、(人々の価値観自体が帝国優位に変質し、)現地社会・文化の全般的な隷属化が促進されてゆくのです。