変成男子とは、女性が男性に性転換して悟りを開くとのことでしたが、何をすると男性になったことになるのでしょう。
『法華経』提婆達多品の場合は、それほど具体的な内容ではなく、『法華経』の霊験譚、一種の奇跡譚として語られます。文殊菩薩が竜宮で『法華経』を講説すると、多くの衆生がそのことによって救済を得、なかでも8歳の龍王の娘が忽然と悟ります。釈迦の弟子である舎利弗らは、女人の身体が穢れていること、五障(梵天、帝釈天、魔王、転輪聖王、仏身にはなれないという障害)のあることなどを挙げ、それを信じようとしない。ところが龍女は、彼らの目前で男子に変成し、菩薩となり、ついには如来となって、無量の衆生に法を講説したといった内容です。このほかにも、読誦すれば女性から男性へ変成できる、胎内の女子を男子へ変成できるといった、『宝星陀羅尼経』など一種の呪言(真言)が書写、読誦されていました。