日本の医療の歴史において、ハンセン病などに関しては、治すのではなく隔離し、根絶させようとする医療法もありました。この場合は、医療と歴史との関わりはどうなのでしょうか?

ハンセン氏病への対処の仕方も、過去からの知識と技術の積み重ねになります。しかしかかる例は、その「積み重ね」にも限界や誤りがあったことを明確に伝えてくれます。その「積み重ね」がどこで誤り、なぜ歪んだ方向へ向かってしまったのか。医書やその他の記録を通じかかる問題を追究してゆくことは、人間なるものの負の部分、社会や国家の暴力の発現を考えるうえで、あるいはその抑止の方法を見出してゆくうえで、大きな意義のあるものになるでしょう。