講義内で、日本神話の主神がアマテラスであり、オホクニヌシも最高神になっていた可能性があると仰っていましたが、私はアマテラスはイザナギの子として生まれたと習いました。すべての神の祖であるイザナギではなく、アマテラスが主神であることに疑問を感じました。

神話に関する文献で、イザナキを主神としているものはありません。イザナキがアマテラスを生むのは『古事記』ですが、そもそも古代においては、『古事記』は『日本書紀』を読むための副読本、参考書程度の意味しかありませんでした。また、イザナキがすべての神々を生んだのではなく、イザナキ自体も、造化三神が用意した舞台のなかで誕生するわけですので、「生んだ神が偉い」ということであれば、至上の存在は造化三神ということになります。アマテラスは天皇制国家において、皇孫の直接の祖先として位置づけられ、日本列島=豊葦原中国を統治することをニニギに命令した存在として、至高の神格とみなされているのです。