久米論文のなかで、神道は体系化された宗教ではないので社会を支えることができないと批判されたとのことですが、そもそも体系化された宗教とはどのようなものでしょうか。

宗教の定義としては、教義・儀礼・教団などの要素を完備し、一定の道徳的・倫理的教えが祭儀などのセレモニーを通じて表現され、それを共有し信仰する社会集団がある、それらを継続的に維持してゆくための組織・施設がある、といった条件が挙げられます。神道は、このうち教義が明確ではないのです。もともとは地域地域で祖先や自然神を崇めるプリミティヴな信仰であったため、思想や考え方は集団によってさまざまで、全集団の規律を維持し継続させるような統一的な教義には欠けていたわけです。