先生が、貴族文化を克服したところに真の国風文化があるのでは?と仰っていましたが、それは一体どういう意味でしょうか。貴族文化の存在を民衆が認知し、民衆にとって主要な文化の再構築を図るということでしょうか?

そうはいっていません。レジュメもよく確認していただきたいのですが、私の考えではなく、あくまで石母田正の思想です。石母田はマルクス主義者ですので、彼の考え方としては、貴族文化はあくまで民衆の収奪によって成り立っている表面的な文化に過ぎず、煌びやかで美しく見えても本当の意味で優れた文化とはいえない。社会や文化の担い手は一般民衆であり、彼らが貴族の支配を克服して作り上げた文化こそが、日本のそれを代表する「国風文化」と初めていえるのだ、ということでしょう。