日明貿易における諸経費はすべて明が負担したとのことですが、成立したばかりの明がそのような負担をしていまで日本と貿易をすることになったのは、日本が何らかの圧力をかけたからなのでしょうか?

そういうわけではありません。朝貢貿易とはそういうものなのです。中国王朝は、理念上、世界を統一し支配下に収めてゆくベクトルを持ちます。世界に皇帝の徳治を行き渡らせ、蛮族に文化をもたらすのが、天から与えられた使命なのです。朝貢とは、理念上、そうした皇帝の徳を慕って周辺諸国の君主たちが臣従しにやって来ることを意味するので、皇帝は彼らを饗応し文化の何たるかを示さねばならないわけです。当時の日本は辺境の小国に過ぎませんので、大国の明へ圧力をかけることなどできません。