涅槃図についてですが、仏の教えはどのようにして動物に伝わると考えられていたのでしょうか。人間のように、言葉で教え諭して分かると考えられていたのですか。
賢い動物は、人間の言葉を理解できると捉えられていました。それは、生命の本体が人間と同質であるという意識に基づいています。そのあたりは、精霊の本体を人間と同じ姿にみるアニミズムとも通じていますね。しかし、頭の弱い動物に生まれてしまうと、やはり人語を解さない。ところが、覚りを開いた者の言葉は普遍性を持つようで、そのままの内容、声音で動物へも届くと考えられたようです。釈迦の生涯を描いた仏伝では、その説法の場に動物たちが訪れ、熱心に耳を傾ける様子が記されています。