寒冷多雨の環境下で、各地の王はどのようにクニを作りあげ、それを安定化させる水稲耕作を続けてゆくことができたのだろうか。

やはり、まだ分からないことが多いですね。授業でお話ししたとおり、品種改良などの対応が未だできない技術段階にあって、気候の悪化するなかで稲の収穫を確保するためには、治水を行いできるだけ多くの水田を確保することです。河川の流路変更や溜め池の造成などを通じて、これまで開発できなかった丘陵地などを水田化してゆく。そのための土木技術の革新、労働力の集中化、それが可能なクニへ勢力が集中してゆく。そのプロセスにおいて淘汰が進み、幾つかの強力な地域王権と、それを統括するヤマト王権が屹立したのだと考えられます。