古墳時代の首長の霊能力とは、どのようなものとして表現されていたのでしょうか?

祭政の概念が未分離なので、いわゆる政治力も、軍事力も、霊力の表れとみなされたはずです。すなわち、巨大な軍事指揮権をもって兵卒を動かせること、古墳の築造や治水工事を完遂できること、それらすべてが、「王という存在の特別性」を表現するわけです。また、彼らは古墳の祭祀者であり、水をはじめとする自然神の祭祀者でもあったわけで、神霊と意志を通わせることのできる存在とも捉えられていました。このような認識が基礎となって、やがて7世紀に、「馬がはらばっているような、水鳥が巣を作っているような低湿地を都にしてしまえるのは、天皇が神だからだ」と歌われるようになるのです。